「愛は与えるもの。
人生を終えたときに残るのは、与えたものだけ。」
そんな言葉を残した人がいます。
オードリー・ヘップバーンです。
けれど彼女の人生は、最初から華やかなものではありませんでした。
生後わずか3週間で百日咳にかかり、心臓が止まる。
母親の必死の看病で一命を取りとめたといいます。
9歳で両親が離婚し、10歳で祖母のもとへ。
そして戦争。
食べるものもなく、球根で飢えをしのぎ、
栄養失調で体を壊すほどの生活。
その話を知ったとき、正直なところ、想像することすら難しいと思いました。
「美しい女優」というイメージとはあまりにも遠くて、同じ人の人生とは思えなかったからです。
ここまで読むと、胸が苦しくなってきます。
それでも彼女は、やがて女優として成功し、
『ローマの休日』で世界的なスターになります。
「ティファニーで朝食を」や「ムーンリバー」そして「ローマの休日」。
もう何度見たかわからないくらい、繰り返し見てきました。
オードリーの愛らしさに憧れて、 そのファッションセンスに刺激を受けて。
あの頃の私にとっては、少し大げさかもしれないけれど、 彼女は神様のような存在。
けれど、本当に心を動かされたのは、その後でした。
彼女は晩年、
ユニセフの親善大使として、
苦しむ子どもたちのもとへ向かいます。
かつて自分が受け取った「助け」を、
今度は誰かに手渡すように。
もしかしたら彼女は、
“愛されること”よりも
“愛を渡すこと”を選んだ人だったのかもしれません。
彼女の人生をたどっていくと、
「愛は与えるもの」という言葉が、ただのきれいごとではないことがわかってきます。
人はつい、愛されることを求めてしまうけれど、
与えることを選ぶのは、思っているよりもずっと難しい。
とくに、自分が苦しい経験をしてきた人ほど、
そのまま閉じてしまっても不思議ではないのに。
それでも彼女は、誰かに手を差し伸べることを選びました。
もしかしたら愛というのは、
“余裕があるから与えるもの”ではなくて、
“それでも与えようとする選択”なのかもしれません。
愛は与えるもの。
彼女の人生をたどると、その言葉の重みが少しわかる気がします。

コメント