オードリー・ヘップバーン:苦しみを愛に変えた人生

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愛は与えるもの。人生を終えたときに残るのは、与えた愛だけ
この言葉は、オードリー・ヘップバーンの生き方そのものです。映画で世界中の人に愛された彼女ですが、晩年はユニセフ親善大使として、戦争や貧困で苦しむ子どもたちに愛を届けました。彼女の人生は、困難を希望に変え、愛を行動で示すことの大切さを教えてくれます。

この記事を読むと、こんなことがわかります:

  • 幼い頃から戦争を経験したオードリーの生い立ち
  • 女優として輝きながらも、私生活で悩んだこと
  • ユニセフ親善大使として世界の子どもたちに尽くしたこと
  • 「愛は行動で示す」という彼女の哲学
  • 困難や苦しみを力に変えて、人に優しくできるヒント

オードリーの人生からは、「誰かを助けることや愛を与えること」が、結局は自分の人生を豊かにしてくれる、そんなことを感じられるはずです。

幼少期の苦難と家族の影

オードリー・キャスリン・ヘップバーン=ラストンは、1929年5月4日、ベルギーのブリュッセルで生まれました。父はイギリスとアイルランドの血を引く銀行家、母はオランダの貴族の血筋を持つ男爵夫人です。華やかな家に生まれたものの、幼いオードリーの毎日は決して穏やかではありませんでした。

6歳のとき、父親が家を去り、母と一緒にオランダのアーネムで暮らすことになります。第二次世界大戦中はドイツ軍に占領され、生活は「まるで牢獄」のよう。食べ物も不足し、チューリップの球根を口にして飢えをしのぐこともありました。栄養不足は体にも大きな影響を与えました。

こうしたつらい幼少期の体験が、のちに彼女が世界中の子どもたちを助ける原動力になったのです。

バレエと女優への夢

5歳から始めたバレエは、オードリーにとって大切な心の支えでした。でも、戦争の影響や身長(170cm)が壁となり、プリマバレリーナになる夢はあきらめざるを得ませんでした。

それでもオードリーは表現することを諦めず、舞台や映画の世界へ進んでいきます。

  • 1951年:ブロードウェイの舞台『ジジ』で主役を演じ、注目を浴びる
  • 1953年:映画『ローマの休日』でアン王女役を演じ、24歳でアカデミー主演女優賞を受賞
  • 1954年:舞台『オンディーヌ』でトニー賞を受賞

その後も『麗しのサブリナ』や『ティファニーで朝食を』『マイ・フェア・レディ』など、多くの映画で観る人々を魅了しました。また、デザイナーのジバンシィと協力して作ったファッションスタイルは、今も世界中で愛されるアイコンとなっています。

私生活の葛藤

オードリーは母親としてもとても尽くしていました。

  • 1954年:俳優メル・ファーラーと結婚し、長男ショーンが誕生
  • 1968年:離婚
  • 1969年:精神科医アンドレア・ドッティと再婚、次男ルカが誕生
  • 1982年:再び離婚

幼い頃に父が家を去った経験や、2度の離婚は、オードリーの心に影を落とすこともありました。それでも、彼女にとって家族への愛はいつも最優先。子どもたちへの思いは変わらず深く、大切に育てました。

ユニセフ親善大使としての活動

1988年、オードリーはユニセフ親善大使に就任しました。子ども時代に戦後の支援を受けた経験が、この活動の原点になったのです。

その後の5年間、オードリーは世界中を飛び回り、精力的に活動しました。エチオピアの干ばつ、ソマリアの内戦、バングラデシュの教育支援、スーダンの難民キャンプ視察などに加え、募金活動や米国議会での証言、世界子どもサミットへの参加など、忙しい日々を送りました。

1992年、がんと闘いながらも活動を続けたオードリーは、その功績が認められ、米国大統領自由勲章とアカデミー賞ジーン・ハーショルト友愛賞を授与されます。

そして1993年1月20日、スイスの自宅で家族に見守られながら、静かにこの世を去りました。63歳でしたが、その生涯は多くの人に希望と愛を残しました。

哲学:愛は行動で示すもの

オードリーは晩年、こう語っていました。

「愛は行動なの。言葉だけではだめよ。私たちには、生まれたときから愛する力が備わっているのだから」

彼女の詩『ときの試練で磨かれる美』でも、外見の美しさよりも、人への思いやりや助け合いの大切さを伝えています。


戦争や苦しみを経験しながらも、愛を与えることに人生を捧げたオードリー・ヘップバーン。その生き方は、今でも多くの人に希望と勇気を届けています。

晩年に訪れた、静かで深い愛

女優としての華やかなキャリアの後、オードリー・ヘップバーンの人生の最後の章は、人道主義者としての活動と、ひとりの男性との穏やかな愛によって彩られていました。

1980年、オードリーはオランダ人俳優ロバート・ウォルダースと出会います。
それは、2度目の結婚が終わった直後のことでした。

ふたりは結婚という形を選びませんでした。オードリーはこう語っています。
「私たちには書類など必要なかった。心さえあればいいの」

過去の結婚で深く傷ついた経験を持つふたりは、「良い関係を、あえて壊す必要はない」という思いで一致していたそうです。
こうして始まったパートナーシップは、1980年から1993年までの13年間、スイスの静かな邸宅で穏やかに続きました。

愛に支えられたユニセフ活動

この「晩年の幸福」の時代は、オードリーが人生で最も重要な仕事に向き合った時期と重なります。
1988年、彼女はユニセフ親善大使に就任しました。

ロバート・ウォルダースは、この多忙で過酷な活動のすべてに寄り添いました。
エチオピアの干ばつ、ソマリアの内戦、ベトナムや南米での支援活動――。
体調が悪化してからも、オードリーは現地に足を運び続け、そのそばにはいつもウォルダースがいました。

1992年、激しい内戦下にあったソマリアの緊急給食センターを訪れたのが、彼女にとって最後の大きな任務となります。

最後の誓い、そして守られた約束

同じ1992年12月、オードリーはその人道的活動を称えられ、米国大統領自由勲章を授与されました。
しかしそのわずか数週間後、彼女は稀な腹部のがんにより、63歳でこの世を去ります。

最期まで彼女を看病したのは、ロバート・ウォルダースでした。
そして彼は、もうひとつの大切な誓いを胸に刻んでいました。

それは、オードリーの遺志を守り、彼女の二人の息子――
ショーン・ヘプバーン・フェラーとルカ・ドッティを支え続けること。

ウォルダースはその約束を25年間守り抜き、オードリー・ヘップバーン児童基金やユニセフ関連の活動を支え続けました。
2018年、81歳で亡くなるまで、「必ず約束を守る」という誓いを一度も裏切ることはありませんでした。

オードリーが息子たちに遺した言葉

オードリー・ヘップバーンが亡くなるほんの数日前、
息子たちに静かに読み聞かせたと伝えられている詩があります。
それは、彼女の人生そのものを映したような、とても美しく、あたたかな言葉たちです。


『時を越えた美しさの秘密』
“Time Tested Beauty Tips” ―Sam Leveson


魅力的な唇であるためには、美しい言葉を使いなさい。
For attractive lips, speak words of kindness.


愛らしい瞳であるためには、他人の美点を探しなさい。
For lovely eyes, seek out the good in people.


スリムな体であるためには、飢えた人々と食べ物を分かち合いなさい。
For a slim figure, share your food with the hungry.


豊かな髪であるためには、一日に一度子供の指で梳いてもらいなさい。
For beautiful hair, let a child run his fingers through it once a day.


美しい身のこなしのためには、決してひとりで歩むことがないと知ることです。
For poise, walk with the knowledge you’ll never walk alone …


物は壊れれば復元できませんが、人は転べば立ち上がり、失敗すればやり直し、挫折すれば再起し、間違えれば矯正し、
People, even more than things, have to be restored, renewed, revived,


何度でも再出発することができます。
reclaimed and redeemed and redeemed …


誰も決して見捨ててはいけません。
Never throw out anybody.


人生に迷い、助けて欲しいとき、いつもあなたの手のちょっと先に助けてくれる手がさしのべられていることを、忘れないで下さい。
Remember, if you ever need a helping hand,
you’ll find one at the end of your arm.


年をとると、人は自分にふたつの手があることに気づきます。
As you grow older you will discover that you have two hands.


ひとつの手は、自分自身を助けるため、
もうひとつの手は他者を助けるために。
One for helping yourself, the other for helping others.


女性の美しさは 身にまとう服にあるのではなく、
The beauty of a woman is not in the clothes she wears,


その容姿でもなく、髪を梳くしぐさにあるのでもありません。
the figure that she carries, or the way she combs her hair.


女性の美しさは、その人の瞳の奥にあるはずです。
The beauty of a woman must be seen from in her eyes,


そこは心の入り口であり、愛情のやどる場所でもあるからです。
because that is the doorway to her heart,


女性の美しさは、顔のほくろなどに影響されるものではなく、
The beauty of a woman is not in a facial mole,


その本当の美しさは その人の精神に反映されるものなのです。
but true beauty in a woman is reflected in her soul.


それは心のこもった思いやりの気持ちであり、時として見せる情熱であり、
It is the caring that she lovingly gives, the passion that she shows,


その美しさは、年を追うごとに磨かれていくものなのです。
and the beauty of a woman with passing years only grows!

この詩には、名声や美しさの奥で彼女が大切にし続けてきた「人を思う心」と「愛を行動にする生き方」が、やさしく刻まれています。

まとめ:愛を与え、愛に生きた人生

オードリー・ヘップバーンの人生は、決して平坦なものではありませんでした。
けれど彼女は、苦しみをそのまま抱え込むのではなく、やがてそれを深い愛へと変えていきました。

  • 幼少期:父の不在と、戦争による飢えという深い傷
  • 女優時代:世界中から称賛される名声の裏にあった、孤独と私生活の悩み
  • 晩年:ユニセフ親善大使として、そして人生の伴侶に支えられながら、世界の子どもたちに愛を届けた日々

オードリー・ヘップバーンの人生は、
「苦しみを知った人だからこそ、誰かに優しくなれる」
そんなことを静かに教えてくれます。

「愛をもらうより、与えることを選んだ」――
それが、オードリー・ヘップバーンの生き方でした。

そして彼女は最後に、
愛に支えられながら、愛を世界へ返して旅立ったのです。

私たちもまた、オードリーのように小さな愛を周りに返すことで、日々の世界を少しずつあたたかくできるのかもしれません。


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